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氷河屋vs地形屋 ### 会議室:「Glacier BBS」

氷河屋vs地形屋 ###

氷河屋vs地形屋 ##からの続き


松元 さんからのコメント
(Date: 2000年 11月 02日 木曜日 23:54:11)

珍しくひとことだけ。

>氷河底水文をほんとに調べるなら、やっぱりボーリングしないとダメだと思います
>が、ちょっと現状では難しいですね。

前から分かってはいるんですが、まさにそうなんです。
下とか上からだけではやはり掻痒隔靴の感をまぬがれない。
といっても、やりたいこと・やったら面白そうなことを測り倒せている氷河
ってのも、そんなにあるわけじゃないのでしょうが。
その代表的なやつは、もちろん Haut Glaier d'Arollaですが、
白岩さんは行かれましたか?

*関係ない話題ですみません。関係話題に関しても追って少々考えを
述べる予定です。


白岩 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 03日 金曜日 1:03:00)

Haut Glacier d'Arollaまだ行ってません。もう雪が降っちゃったから今年はダメでしょう。来春にはGlacier de Tsanfleuron(底面氷研究で有名な氷河)と共に是非でかけてみたいと思っています。

Haut Glacier d'Arollaからイギリスのグループが出した成果は、まさに地形屋と氷河屋の共同研究がうまく行った例ですね。ああいうすごい成果をあーっという間に出してしまうなんて、学際研究の醍醐味ですね。ETHのBlatterさんは、High order modelでこの氷河に関係しているらしいけど、この氷河が彼のモデルが適用された最初の氷河だそうです。フルストレスのモデルで、70mのグリッドまで発散しないで動くそうで、クレバス分布なども説明できるとか。

掘るほうに関しては、帰国するまでになんとかスチームドリルの現状だけでも把握しておきたいと思います。ETHの人たちに聞いたら、1日で800m掘れちゃうそうですから、これが導入できたらダイナミクス研究には大いに役立つのでは?構造からみてあんまり高くなさそうだし。

そうそう、低温研でEric Blakeさんが講演するそうですね。彼は底面滑り直接測定したり、ティルの変形を測定してる人だから、色々聞いておいてくださいね。

あっ、また内輪ネタになってしまいました。失礼。


澤柿 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 04日 土曜日 0:59:02)

>朝日君、過激ですなぁ。日本の氷河地形・地質屋さんも、アプローチが長
>い・堆積物が少ないという二重の厳しい環境で結構いい仕事してると思う
>けど。

全く同感...と自己弁護モード.

「雪氷」の報告にもちょっと書きましたけど,シアトルのデブリカバーワー
クショップで一番面白かったのは,USGSで火星の地形をやってるKargel氏の
反応です.

要するに,探査機とか望遠鏡とかそういうものから得られる視覚的な情報
だけで,火星に氷河作用や岩石氷河があるかどうかを検討しているんですが
,それに対して今の氷河屋さんがどこまでコントリビュートできるか,と
いうことを,しきりに問いかけていたように思います.

火星や宇宙探査なんて,結構サイエンスの花形ですから,注目もされるし
敬意も置かれるんで,立場としては強いだけにインパクトはあったような
気がします.

なにが言いたいかというと,彼らが火星という人類がまだ到達していない場
所,つまり「距離」という障害にはばまれながらやっているのと,氷河地質
屋(第四紀屋)が,時間という障害にはばまれながら,過去を復元しようと
している点で大きな共通点があるということで,彼の姿勢に共感しました.
そして,今,をやっている氷河屋さん達には期待しているんです.

さらに言えば,日本のばあい,「今」すらだめなわけで,あらゆる面で現物
の氷河や氷河があって過去の堆積物もある場所を参考にしなければいけない
ということなんです.

そういう意味では,海外での氷河や氷成堆積物をみた経験のある研究者が,
それを日本にフィードバックする姿勢がお粗末であったことは,自己批判
すべきだと思います.

逆にいえば,日本にやってきた欧米の研究者の成果は,刺激にはなるけど
まだまだだな,と個人的には思いますし,それをきちんと論破してこなか
ったり,自分達の成果を世界にアピールしてこなかったりしたことが大きな
反省点なわけです.

南極はそういう点で,どこの国,という訳ではないので,純粋に同じ土俵で
日本人が世界的な成果に挑戦できるわけで,氷河地質学もやりがいがありま
した(過去形にしているにはいろいろ個人的な理由がありますが,察してく
ださい).

では,氷河がなく,過去とフィールドの困難性をかかえる日本はなにができ
るか,を考えると絶望的になってきますが,最先端にはかなわないけど,底
力みたいなものは養えると思うんです.さらには,らくちんなフィールドで
しかやってこなかった欧米の研究者にはできない(思いつかない)独自のテ
ーマも発展させられるんではないかと思います.

そういう点で,山口君が言っている「氷期の氷河の具体像」は,「氷河屋」
と「地形屋」のダッグが活かされるテーマではないかと思います.


白岩 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 04日 土曜日 3:00:19)

>そういう意味では,海外での氷河や氷成堆積物をみた経験のある研究者が,
それを日本にフィードバックする姿勢がお粗末であったことは,自己批判
すべきだと思います(澤柿さん).

この指摘は頭が痛い。私もお粗末だった一人です。2000年の春の学会で提示した「日本の氷期の氷河像=氷期の氷河はポリサーマル氷河!」が、日本の氷河地形を離れて12年目にしてようやく放った恩返し第一段ですが、会場にいた松岡憲知さんから「そのデータがひとり歩きするのが恐い」というご指摘をいただき、解析を進めねばと思ったのですが、あれからさっぱりです。こちらにいる間にもう少しECMWFの客観解析データをいじって現在の日本の雪氷環境とカムチャツカの氷河環境を結びつけ、氷期の日本の氷河像にコメントできたらなぁと考えてはおります。

でもやっぱり、モデルとかGCMとか現在の雪氷環境とかからのアナロジー的類推で氷期の氷河を推定したって、やっぱり現場の堆積物や地形から得られる直接的な証拠にはかなわんとは思っています。だから、日本の氷河地形屋さん、現場からどんどん面白い仮説を発信してくださいね。平衡線を利用した古気候復元や編年も重要だけど、日本の氷河地形から語れる氷河や地形の面白い話題ってないのかなぁ(例えば、「湿潤変動帯の氷河と氷河地形」ってのはどう?)。

>逆にいえば,日本にやってきた欧米の研究者の成果は,刺激にはなるけど
まだまだだな,と個人的には思いますし,それをきちんと論破してこなか
ったり,自分達の成果を世界にアピールしてこなかったりしたことが大きな
反省点なわけです(澤柿さん).

こっちに来て、日本の氷河地形をやったH.Heubergerさんとか、C.Schluechterさんとか、H.Kerschnerさんと会って、彼らのアルプスだとかニュージーランドだとか、ヒマラヤなどでの仕事を聞きましたが、立派な仕事が多く、彼らが日本の氷河地形に書いた報告はほとんど冗談にしか見えません(これが伝わったら、彼らは怒るだろうなぁ...)。

日本にいるときは彼らの仕事を論破するのも大切ではないかと思いましたが、あんまり気にする必要ないじゃないですか?日本人研究者のほうが、日本の氷河地形に関してはずっとよく見ていると思います(まぁ、当然と言えば当然か?)。

ではでは。
よい週末を!

「日本列島の氷河地形の問題点をさぐる」報告


青木 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 06日 月曜日 10:19:11)

地質年代決定法の話なら話題提供できます>内藤さん
測定が地理学会以降進んでいないのが問題ですが(自省)。

「氷期の氷河の具体像」について、山口君ともすこし話したことですが、
「地形屋が言うような氷河は、雪氷学的に存在し得るのかを検証する」(復元された氷河は流動する? 流速は? 質量収支は?)
という側面と、
「地形屋が言うような氷河【分布】を満たすような、雪氷学的(古気候学的)条件をシミュレートし、その妥当性を検証する」(気温は? 降雪量は? 逓減率は?)
の両面ができたら面白いと思っています。

 地形屋はこれまで、私の年代測定も含め、個々の氷河地形を厳密に検討することそのものより、【分布】に比重を置いていたと思っています。個々の氷河地形の復元(認定)精度は多少低くとも空間分布に共通性が見られる点で、その妥当性は担保されていると。つまり「氷期の氷河の具体像」は、「どのような氷河が」と「どのように氷河が」の両面を検討する必要があると思います。
 その点で地形屋(特に編年屋)には氷河地形データベースを作成し、年代、高度や堆積物の情報などを定量的に比較検討するべきだろうと思っていて、なんとかせにゃならんと感じています(自省も込めて)。


澤柿 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 07日 火曜日 22:30:10)

アクセス記録を解析していたら,ついさっき,明治大からアクセスがあった
ようです.でも,BBSのトップページをみただけで帰っちゃったみたい.
タイトルを見ただけでおそれをなしたか....

新たな地形屋の登場を期待してるだけに 残念.

でも誰だったんだろう?


澤柿 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 08日 水曜日 18:03:02)

藤田君から,比較氷河研の参加申し込み者の現状を知らせてもらいましたが,
地形屋が少ないです.

このままだと,盛り上がった「氷河屋vs地形屋」のテーマも実現は難しいそう.

どうしましょう?


白岩孝行 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 08日 水曜日 20:27:41)

めぼしい人に積極的に声をかけてはいかがでしょうか。少なくとも氷河作用研究グループのMLには参加の呼びかけが必要では?

WEBの場合、見てる人は見てるけど、見てない人は見てないんだよね(当たり前だけど)。

会議のご成功を祈ります。

追伸:一昨日、ETHで南極の講演会があり、EPICAの掘削成果などの話しを聞くことができました。講演会の最後に、シャクルトンのEndurace号の映画があり、初めて動くシャクルトンを見ました。結構、面白かったです。なんか、相撲の武蔵丸みたいな顔してた。


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