以下2000/10/27〜10/31までの記事は,雪氷学会若手・北大低温研氷河関係者十数名の間で交わされたメールの内容を,関係者の同意のもとに,ここに転載したものです.11/1以降は,その議論をこの掲示板に移して,ひろく一般にオープンしました. |
氷河屋vs地形屋 ##
氷河屋vs地形屋 #からの続き
内藤 さんからのコメント
(Date: Tue, 31 Oct 2000 23:41:04 +0900)
内藤です。
なんか氷河氷床Gのゼミ的な議論を垣間見ているようで、とても面白いです。
(と、あまりふざけた感じで書くと不謹慎ですが、素直に興味深いですよ。)
> High order modelの必要性は昨日も書きましたように、形の複雑な氷河(応力が場所によって不連続に変わる氷河)や、局所的な氷河のダイナミクス(例えばTillの上の流動とか、局所的な底面すべり)を扱う場合に必要になってきたと理解しています。従って、Hintereisfernerのような比較的単純な形の氷河で、歴史時代の氷河の全般的な形態を復元するような仕事で、縦偏差応力が重要でなかったという結論はいちいちもっともです(クンブ氷河でさえ、あまり重要でないというのはちょっと驚きでした)。
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駆動応力として縦偏差応力の効果が効く場所というのは、私の理解では、氷床−棚氷の接地線付近やあるいは山岳氷河でいえばアイスフォール付近ぐらいかと思っています。
他にもあるかも知れませんが、とりあえず単純な形の氷河ではあまり効かないというのは、全くごもっともだと思います。
クンブ氷河について効かないという結果は、あくまでエベレストBCより下のデブリ域のみを対象としたためでして、アイスフォールを対象に入れる場合は、当然さらに検討が必要です。
ご参考まで、この縦偏差応力の数値計算への取り込みについては、
Van deer Veen, 1999: Fundamentals of Glacier Dynamics. p.236-241.
に出ています。
縦偏差応力効果を反復計算によって(底面)駆動応力に取り入れる式が出ています。
式の物理的解釈については、まだ完全に理解しきっているわけではないのですが(お恥ずかしながら)、とりあえずこの式を使って(底面)駆動応力を算出(補正)することで、層流近似モデルへこの効果を取り込むことは可能です。
私が先に検討したというのは、まさにこの式を使ってクンブ氷河の(層流近似がベースで側方効果についてはシェイプ・ファクターでとりあえず考慮した)モデルを改良してみたところ、結果は全くと言っていいほど(少なくとも有効数字の桁では)、変わらなかったということを指しています。
反復計算になるので、このモデルはやたらと遅くなるため、以後この効果は無視した、という訳です。
プログラム的にはさほど難しくないでしょうから、一度検討しておけば、後々質問されたときに良いかと思いますよ。→山口君
(実は、私もシアトル・ワークショップでまさにこの質問を受けました。
しかも質問したのは、氷河地質屋さんのBernard Hallet氏で、
「地質屋」さんからこういう質問をされたのは少し驚きだったのですが、考えてみると氷河底堆積物研究の関係で、むしろ地質屋さんの方が関心を持っているということなんでしょうね。)
> ひるがえって、カレイタ氷河で同時進行で進めている局所的な底面すべりの時間変動の観測結果を考えてみましょう。今年の観測結果はわかりませんが、これまでの結果では、地点毎の融解量に応じて、その場の底面すべりが他地点とは独立して生じているという結果ではなかったでしたっけ?ということは、縦偏差応力が厚さとは独立に場所毎に変動しているということだよね?ずいぶん前に、氷河グループのゼミで、各地点の底面すべりの観測結果から地点毎の底面すべりの式に入れる係数を求め、それを全体的に平均してひとつの係数として使用することの可否を議論したことがありますよね。山口はモデルに入れるために平均化することの妥当性を力説し、成瀬さんと僕が良く理解できなかった議論。今ふりかえってみると、これは、「層流近似モデルには不必要なほどの細かい情報をとりすぎてしまったために、層流近似モデルの必要とする粗い情報に戻す過程」であったのではないかと思います。
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背景を必ずしもちゃんと把握してないから、的外れのコメントかも知れませんが、、、
「地点毎の融解量に応じて、その場の底面すべりが他地点とは独立して生じている」から、「縦偏差応力が厚さとは独立に場所毎に変動している」というのは、底面でのx方向の垂直歪み速度を介して頷けるところなのですが、
力のつり合い式を積分して流動計算に反映される場合に効くのは、あくまで縦偏差応力のx方向の傾度(longitudinal gradient)
のはずなので(さらにはその深さ方向の積分もですが)、要は、底面滑りの分布が一定ではないとしても、それが線形から大幅にずれるかどうかがポイントなんだと思います。
万一、流動(底面滑り)のx方向の分布が線形に近いなら、縦偏差応力はほぼ一定値となり、そのx傾度はほぼゼロということになりますよね。
もし底面滑りの空間的分布がそうではないなら、やはり一度検討しておく価値はあるでしょうね。
ところで、確か以前に聞いた山口君のモデルでは、氷河底での水圧の情報がないために、実荷重圧力(和訳がこれでよいかどうか知りませんが、いわゆる「N」です)を氷の荷重圧力に等しいとおいた上で、水の(浮力)効果は全て係数の違いに含んでいたんだと思います。
そもそも底面滑りを底面せん断応力とNによって定式化する場合の式自体が未だ一般化されたものではないはずだから(少なくとも私の理解ではそうです)、別の式(べき乗の違い)を用いればまた違った結果になりますよね?
この辺についての検討も多少は必要なんじゃないかと思います。
山口君のよく引用しているOerlemansにしても「とりあえず使ってる」式に過ぎず、
その式自体に確信を持っているのかどうか、大いに疑問を持っていますので。
(要するに、Oerlemansと同じ形の式を用いることの妥当性)
あとついでに書くと、既に山口君には伝えてありますが、縦偏差応力はともかく、側方効果(側方からの摩擦による底面駆動力減少の効果)についても是非検討してみて下さいね。
いわゆるシェイプファクターを用いれば、非常に簡便に層流近似に取り入れられますので。
私も昔は大して効かないだろうと思っていたのですが、ふと「底面駆動力は流速・流量計算に3(n)乗で効いていること」に気づきまして、例えば0.8なら、0.8^3=約0.5、0.9でも約0.7と、結構効くんだなと考えを改めた次第です。
ちなみに自己引用で恐縮ですが、断面形状が放物線の場合のシェイプファクターについては、私の先のシアトル・ワークショップのプロシーディングス(IAHS赤本)に簡便な式を載せました。これは、
Nye(1965):J.Glaciol.,5,661-690.
によるシェイプファクターの理論値を単に回帰する式です。
Nyeの値は氷厚と氷河幅の比に対する表の形でしかまとめられてなかったので、この比に対する連続的な使用を目的に回帰式を作ったというだけです。
また断面形状が長方形の場合も別に求めていて、必要ならお教えします。
(今度のBGRへの論文で掲載の予定です。)
> とすると、GPS観測による細かい流動の成果を生かすには、層流近似モデルではもったいないという結論にならないだろうか?Macheretさんらのお陰で、氷厚に加え、ひょっぁw)箸:?:ぢキると内部や底面の水文状態が明らかになりつつあるカレイタ氷河は、アルプスとはいかないまでも、かなり基礎データのしっかりした氷河になりつつあると思います。もちろん学位論文で全部とはいかないまでも、先の展望を色々考えて解析を進めてみることを勧めます。
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「カレイタ氷河で氷河内・底の水文状態が明らかになりつつある」というのは素晴らしいですね。
カムチャツカ(パタゴニアも)の氷河は底面滑りの寄与が無視できないようですし、底面滑りを考える場合にはやはり氷河底の水の情報がないと厳しいだろうな、と思っていたので、(レーダーによって?)この情報が得られたということは流動や氷河変動のモデルにとって画期的だろうと感じます。
今後の進展に期待するとともに、レーダー?観測・解析についても、いつかお話が聞けることを楽しみにしています。
あ、それから、先の白岩さんの「高次元モデル」のお話、クレーター氷河の底面付近での流動現象を対象に考えておられたとのことで、なるほどと合点がいきました。
私の場合は、あくまで巨視的な(かつ比較的短い時間スケールの)氷河の変動を考えていただけだったので、確かにアイス・コアの解釈や年代決定という側面では、モデルの高次元化は必要になってくるでしょうね。
やはり「目的次第」ということですね。
実は変動モデルにしても、時間スケールを長くしようとする場合には、流動スキームについて改めて検討が必要かも知れないなとは感じているのですが、まあとりあえずD論が片づくまではちょっとお預けかな?
藤田 さんからのコメント
(Date: Wed, 1 Nov 2000 07:34:52 +0900)
みなさま、藤田です。
ただいま国際アイスドリルワークショップに参加しています。(このメールも浴衣姿
で打ってます)
さて、異様な盛り上がりにどこにランディングさせたらいいか見当もつかなくなって
ますが、、、
・テーマが狭い
・「流動と堆積物」は時期尚早
との指摘ですが、僕が最初に漠然と考えていたのはですね、
・今、それぞれの若手はなにがおもしろいと思っているのか?
を年寄り抜きでわいわい話し合ってみたいなぁと言う感じでした。
つまり、トップダウン/現在走っている/現在やっているテーマ/プロジェクトにこ
だわることなく、「氷河」という対象物は何がおもろいかを出し合って、今後につな
げていきたいと考えていたわけです。
ですが、実際に今から2月までというのも、今自分が漠然と考えているものを人にお
披露目できる形にするには時間が足りないかな?と思ったことと、「地形vs氷河で
こんだけ盛り上がってるのだからまーいーか」というだけの理由でテーマを絞ったわ
けです。「流動と堆積物」のタイトルは岩田さんのメールをそのまま横流ししたもの
です。
どうしましょうかね?
せっかく盛り上がっていることですし、地形vs氷河でこのまま突っ走ってみようか
なとも思ってます。だって、1セッションで収まんないでしょ?10年後を見据えた
ほら吹き研究会(本来の比較研)は来年度の末にでもじっくり企画しませんか?(低
温研の共同研究で研究集会の予算を採ろうか?)
PS 私の意に反して「お年寄り」からの参加表明は相次いでおりますが、若手から
の意志表示がありません!聞きにくるだけでもエエんだから、返事をください!!黙
っていたら、旅費出んよ!
松岡@低温研 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 01日 水曜日 17:22:24)
みなさま
松岡@低温研です。パタゴニアから戻りました。やっと出てきました(^^)、こん
にちは。
まだ全部のメールを理解しているわけではないのですが、 1番賛同できる部分の
多かった松元のメールへの返信というかたちで、少し私の意見を述べさせて下さ
い。
>氷河屋の話す「数学・物理」という言葉と、地形・地質屋の話す「観察・記載」
>という言葉をお互いが理解する努力をして、テーマを絞れば結構会話は可能である
という点には賛成ですが、理解する努力をその場だけでしながら最先端の話題を
話すことなんか不可能だろうと思います。だって、私恥ずかしながらモレーンの
定義言えませんし(うーん、モレーンの同定が出来ないと言うべきか)。
>ただ集まってワイワイやったところで、相互理解なんかできません。
というのが正直なところです。まあ、仲良くなるぐらいが関の山です。その悪い
例が、前回の札幌での会合でしょうか。(この指摘には異論もあるでしょうが、
私も世話役の一人だったので自己批判のつもりです。)
藤田さんが名大の共同研究費を話題に出されていましたが、例年3月になると大
騒ぎになる未消化の旅費。これを上手く利用できないかなあと前から思っていま
す。ちょっと構想していたのは、札幌春の学校。余った旅費で人を呼んで、学部
程度とまでは言いませんがそれに近い部分から基礎的な講義をしてもらう。といっ
ても大先生は季節がら呼べないから、ドクター取り立てクラスが講師。最先端の
話となると自ずと関係者が限られます。そうではなく、もっと一般的な話。
>「いつまでも宗教みたいなこと言っとらんで、高校の物理から勉強し直してこい、こ
>のバカ!」
>「何でも単純化しやがって、お前にはこの多様な自然が見えないのか、この物理学帝
>国主義者め!」
何て双方の悪口を言っているのではなく(悪口しか言えない人は来るな)、地理屋
の手法を学ばせてよと言う物理屋、物理屋の道具を見せてよと言う地理屋が集まっ
て、教えあえば少しは共通の言葉が持てると思います。周辺分野と共通の言葉を
持っていることは、堆積物云々よりはるかに有効ではないでしょうか。別に堆積
物云々が重要ではないと言っているのではなく、本当に10年後を考えるのならこ
の辺から話しないとダメなんじゃない?というのが私の意見です。それに、最先
端の話ならこうやってメールでも充分に盛りあがるじゃないですか!
「昔、松岡ってもっと地理屋を攻撃してたよなあ」とお思いのあなた、私も少し
は成長しました。というか、地理屋の手法に最近は魅力すら感じています。具体
的にはGISに手を出したいなと感じています。南極で所詮自分の真下しか見れな
いもどかしさにリモセンに更に魅力を感じ、2,000km以上ものデータの全体像を
どうやって掴むのかでGISに魅力を感じ、色々と考えています。グラフ書いて眺
めてというのは物理屋のすることですが、地理屋はどうやって全体像を掴むのか、
興味があります。でも、今更何年もかけて地理屋の手法を学んでいたのでは間に
合わないので、 GISなんぞ地理屋の目を自動化しているわけではないのかなあ、
等と夢想しているわけです。
取りとめもないメールになりましたが、私の考えていることはこんなところです。
いずれにせよ話しは聞いてみたいので、とりあえず参加表明します。-->藤田さ
ん
澤柿 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 01日 水曜日 17:34:25)
松岡さま,みなさま.
澤柿です.
>「昔、松岡ってもっと地理屋を攻撃してたよなあ」とお思いのあなた、私も少し
>は成長しました。というか、地理屋の手法に最近は魅力すら感じています。具体
>的にはGISに手を出したいなと感じています。南極で所詮自分の真下しか見れな
>いもどかしさにリモセンに更に魅力を感じ、2,000km以上ものデータの全体像を
>どうやって掴むのかでGISに魅力を感じ、色々と考えています。グラフ書いて眺
>めてというのは物理屋のすることですが、地理屋はどうやって全体像を掴むのか、
>興味があります。でも、今更何年もかけて地理屋の手法を学んでいたのでは間に
>合わないので、 GISなんぞ地理屋の目を自動化しているわけではないのかなあ、
>等と夢想しているわけです。
GISの点,ちょっと手伝えるかもしれません.
D論やってるときに,南極氷床下の基盤地形がしりたくて,極研の渋谷さんたちが取
っていたAero Magneのデータをいじったことがあります.結局,私の要求していた解
像度を満足できなかったのであきらめましたけど.たぶんあのときと同じような手法
を適用すればいいんじゃないかと想像してます.
白岩 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 01日 水曜日 18:51:46)
比較氷河の件は私は参加できないので、藤田さんの提案を含め皆さんでどんどん議論してください。氷河流動の議論は、個人的にはすごく楽しいし、勉強になるので続けたいのですが、だんだんマニアックになっていくし、内輪のゼミ指導に近づいていくみたいで、ちょっと遠慮しようかなとも思いつつあります。しかし、こちらでは、昼飯になると、きまってこの話題で2時間くらい議論がはじまるので、このメールでやりとりした議論は結構重要なんです。専門外だからと言って、黙ってポカーンとしているとアホに思われるし。わからないなりにも適当に議論に参加しないと損ですし(そのうち、わかった気になってくるところが恐いところです)。
内藤 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 01日 水曜日 18:52:28)
確かに流動、氷河変動モデルの議論はマニアックになってきてしまってますね。
すいません。
昨晩のメールも、送信した後になって、ちょっと主題からはずれてたな、、、とやや
気にしてました。
まあ、なかなか日本ではこういう議論ができることは滅多にないので、ちょっと調子
に乗った部分はあったにせよ、大目に見て下さい。
以後、送信内容と送信先には気をつけることにします。
澤柿 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 01日 水曜日 18:52:58)
スイスにいる白岩さんといい,シアトルに武者修行にいっていた内藤さんといい,じ
つはそこが重要だったりするんですよ.
わたしなんぞ,ずっと海外に出て見聞を広げてきたいと願いつつも,かなかな機会が
なくて,それでもなんとか世界レベルの話を議論できたらなあ...なんてずっと思
っていたんですから.
委縮しないで,こういう議論を日本(語)でできることを楽しんだほうがいいですよ.
青木@東大空間情報科学研究センター さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 01日 水曜日 21:02:06)
ご無沙汰です。
議論に乗り遅れてしまっています(汗)
10月に地理から引っ越しました。
とりあえず参加表明として・・・・
カレイタ氷河で山口さんと話をしていて、日本の氷期の氷河が「実在し得たか否か」を検証する必要があると感じている今日この頃です。地理屋の言葉で何を語れるか模索をしている最中ですが、話題に出てきたGISというのも空間を定量的に表現することができるので、その解決策の一つだろうと考えています(始めたばかり・・・)。
「多様性」を語るのが地理屋ですが、「多様性の中の共通性」を捕まえることができれば「一般性」を語る物理屋と話ができるのではないかと。まだ、具体的な解析方法が浮かんでいるわけではないのですが、なにかないかと思案しています。
松岡さんの言うように物理屋と話すための共通言語を探しに、今回の比較氷河に参加したいと思います。
朝日 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 02日 木曜日 14:54:50)
すいません,長らくROMでした.
ナムチェ・バザールでメイルを受信し,びっくりしましたが(正しくはナムチェでメイルを読むことの方がびっくり),
あたふたしていて参加していませんでした.すいません.
これまでの議論をちゃんと把握していませんので,的を得ていないかも知れませんが,「比較氷河」で堆積物と氷河底
プロセスをテーマに地形屋との対決なんて,時期尚早じゃないでしょうか.だって,地形屋(槍玉に上がっている若手)
で自身の専門領域でありながら,堆積物さらには氷河底環境を理解している人がどれほどいるのか.議論になんかなら
ないのと違いますか.是非この点地形屋からの異論を望みますが,果たして.
高峰さんの意見に賛成で,共通言語なんてないですよ.米英(+スイス)の氷河地形屋ならなら可能でも,日本のそれも
若手になんて.地形屋のウリという「観察」と「記載」すら危ういんじゃないかな,昨今.
少なからぬ若手の氷河地形屋は,ティルの定義のやり直しを早急にするべきで,「合同会議」はおろか懸案の「日本の氷
河地形」本すら危ういんと違いますか.それゆえ「時期尚早」だと思います.
来年8月に東京で,4年に1回開催の「国際地形学会議」が開かれます.氷河地形学のフロンティア達,シアトルにも来
ていた人達も来るんじゃないか? ここでの「アジアの氷期」のシンポには参加してみると,なるほどと思うことが氷河
屋さんにもあるでしょうし,今から予定をチェックしておくことをお薦めします.ここならば,最近の(氷河)地形学が
科学らしくなってきていることを理解できるんじゃないか?
最近こう「ワクワク(ネパール語のワクワクではない)」する企画がいろいろあって羨ましいです.いいなぁ.
私も参加していいですか? 藤田さん? (私が主催しろって? ごめんなさい)
このあとヒドゥン・バレーに行ってきます.
内輪ネタはメイルにします.では,
内藤 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 02日 木曜日 17:14:47)
今度はマニアックな話じゃなく、本題に関して。
(澤柿さん、フォローありがとう。マニアックな話も萎縮しないようにします。)
朝日君の、(若手)氷河地形屋の内情からの「時期尚早」論、地形屋陣営をよく知らない者として興味深かったです。
ところで氷河屋陣営を振り返るとき、果たして藤田さんの言っていた「対戦駒」は可能なのかと心配になりました。
何度も繰り返しになりますが、せっかくの機会だから(普段話をする機会が決して多くない)地形屋さんの話が聞ける、ということではほんとに楽しみなのですが、、、
かたや自分がそれに対して有効なコメントができるか?とか、あるいは地形屋さんにとって興味深い(有益な)話題提供ができるか?と考えてみたとき、現状では悲観的といわざるを得ません。
他の皆さん、特に熱心な山口君や松元君を含めて、この点を一度各自で考えてみる必要があるんじゃないかと思っています。
(つまり「面白そうな会」だなと、とりあえず「聞き役」として参加する以上の姿勢を持っている/持てる氷河屋がどのくらいいるのか?)
あるいは、せっかくこうして掲示板上にオープンになったこともあるし、地形屋さんの方から「氷河屋からこんな話を聞いてみたい」という案があったら事前に提示してもらえれば参考になるかと思いますが、いかがでしょうか?
その上で、それに沿った話題提供が揃いそうなら良し、そうでなければやはり氷河屋の側から言っても「時期尚早」ということになるんじゃないかな?と思います。
そもそも澤柿さんが寒冷地形MLに書いておられたように、「氷河屋もようやく最近、氷河底堆積物などに興味を持ち始めた」という段階に過ぎず、「興味」以上の突っ込んだ議論ができる氷河屋が果たして(日本に)いるのか?と思います。
私がここで言いたいことは、決して「地形屋と氷河屋が一堂に会する機会」をつぶしてしまえというようなことではなくて、冷静に考えて「堆積物と流動」というテーマ(のみ)に絞ってそれなりの成果を上げるには、やはりまだ時期尚早なのではないか?ということです。
予め「充分な成果」が想定できないならやらない、というのは変かも知れませんが、今回はあくまで将来を見据えた予備的な会合という位置づけにしかならないような気がするし、そうならば果たしてこのテーマに一本化することがいいことなんだろうか?ということです。
先日はあまり強い主張ではありませんでしたが、その後皆さんのこれまでの議論を読む限り、私としては、「堆積物と流動」よりもテーマを拡張すべきという意を強くしています。
研究会のまさに一番のテーマというか問題設定としては、澤柿氏、白岩氏の提唱された「今後10年間に(氷河をとりまく研究分野として)我々は何をなすべきか」ということでいいんじゃないでしょうか?
その中には当然、堆積物をとりまく話題も入るし、その他にもいろいろあって良いと思います。
話題を発散させないためには、各自がそれぞれの分野で「今後の課題と展望」といったことに焦点を置く必要があるでしょうが。
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ところで松岡君、澤柿さん、青木さんの話に出てきたGISについて、私も話を聞いてみたいですね。
GISって、実は内容はほとんど知らないのですが、なんか使い方によっては面白そうだし。
それから白岩さんの話の中に出てきた、「カレイタ氷河の氷河内・底の水文状態が明らかになりつつある」というお話も、是非どなたかから話を聞いてみたいです。
これはレーダーによるもの?
あと地質絶対年代決定法について、青木さんあたり?に話題提供してもらえれば個人的には有り難いです。
全然詳しいことは知らないのですが、「従来の相対年代決定による氷河地形編年が最近見直されつつある」というような話を(朝日君から?)聞いたことがあり、その一方で「絶対年代決定法は、まだ問題も多いようだから、すぐに信じて飛びつかない方がいいよ」というような話も(シアトルで)聞いたこともあり、この辺、現状での問題点の整理と今後の見通しについて、素人向けにお話ししてもらえれば、大変有り難いです。
その他、藤田さんも書いているとおり、みんなが「面白い(面白そうだ)」と思っていること、聞いてみたいと思う話題などをどんどん出していけばいいんじゃないかな?
(あんまり話題が多岐に渡ると、時間配分とか旅費とか、現実的な面で問題が出てくるかも知れませんが、とりあえずその辺のことは無視して意見を述べました。あしからず。)
白岩 さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 02日 木曜日 19:59:45)
朝日君、過激ですなぁ。日本の氷河地形・地質屋さんも、アプローチが長い・堆積物が少ないという二重の厳しい環境で結構いい仕事してると思うけど。
でも、日本でじっくり見ている長谷川さん、澤口さん、岩崎さん、平川さんとかからコメントないですね。彼らも参加してくると、もっと議論が白熱するんだが...
白岩(つづき) さんからのコメント
( Date: 2000年 11月 02日 木曜日 20:05:01)
内藤さん、カレイタ氷河の氷河内水文と氷河底水文の話は、「期待」が60パーセントくらい入っています。一応、Macheretさんのグループが、電波の散乱特性から氷河内の含水率を測る試みをしているのと、松元さんが学位論文で氷河底水文の解明を目指していることから、上記の発言をしました。従って直接的な証拠というのはまだ持ってません。
氷河底水文をほんとに調べるなら、やっぱりボーリングしないとダメだと思いますが、ちょっと現状では難しいですね。
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