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空中写真判読のコンペを実施しましょう! 会議室:「Glacier BBS」

空中写真判読のコンペを実施しましょう!

発言者:長谷川 裕彦(明治大・非)

(Date: 2001年 2月 15日 木曜日 21:54:34)


 比較氷河研究会では,青木・長谷川の2名がそれぞれの発表で「空中写真判読による氷河
地形の認定」について触れました.私の発表に対する質疑・応答時に,平川さんが活断層研
究における空中写真判読の利用と認定基準について紹介され,活断層研究(者)に対する氷
河地形研究(者)の遅れを指摘されました.正直,頭をガンと殴られたような衝撃がありま
した.

 空中写真の判読による氷河地形の認定は,氷河作用研究にとってもっとも重要な(そして
基本的な)手段の一つであると思われます.日本における氷河作用研究の進展を求めて発足
した氷河作用研究グル−プにとって,まず最初に解決すべき重要検討課題なのではないでしょ
うか.

 そこで提案です.空中写真判読のコンペをやりましょう.
 国内(可能であれば国外も)の数ヶ所を取り上げ,同じ区域の氷河地形分布図を複数の人
間が作成し,その分布図と空中写真を前にみんなで議論する.平川さんが紹介された活断層
研究者たちのように,血まみれの論争をくぐりり抜けなければ,我々に明日は無いのではな
いでしょうか.

 今からすぐに準備を始めて,早ければ敬愛大で,遅くとも夏のICGの前後にコンペを実施
できればと思います.皆さまのご意見をお聞かせください.


苅谷愛彦(千葉) さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 16日 金曜日 10:14:39)

私自身は氷河地形・地質学が専門ではありませんが,今度の集会は同世代の方々の活躍や思考を目の当たりにでき,とても刺激になりました.今後の仕事に役立てたいと思います,お世話下さった藤田さん・澤柿さんはじめ,名大関係者と発表者・参加者の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます.

長谷川さんのポストに関してですが,私も似たような発言を総合討論でしたので,補足的に一言書き込みます(私は長谷川さんの提言に賛成の立場です).まず氷河作用でできる地形は何かを徹底的にリストアップする必要があるのではないでしょうか.誰も異論を唱えないような典型的な氷河地形が映った空中写真(垂直写真だけでなく斜め写真も)を内外からたくさん集め,「写真と図でみる地形学」「活断層地形判読」「空中写真による日本の火山地形」のようにカタログ化する.このカタログでは,個々の氷河地形の形態的特徴や判読基準を詳細に挙げるべきと思います.その際,地形図があれば添えるとよいのではないでしょうか.また長谷川さんが用いられた確実度分類の導入なども必要になるかもしれません.同時に,氷河以外の作用で類似の地形が形成される例(eg.地すべり,残雪へこみ地)も示した方がよいのではないでしょうか.ともあれ,この段階までで,相当の議論が必要になるかと思います.この手続きを経ず各自がいきなり分布図を作って持ち寄っても,結局個々の「作品」を相互鑑賞・批判して終わってしまうことはないでしょうか?.

次に,リーダーが氷河地形の専門家・非専門家数名に同一地域の空中写真を配布し,先の基準にもとづき氷河地形学図を作成してもらいます.できれば,どの判読者にも縁のない地域を選び,詳細な地形地質学および地理情報も教えないのがよいかと思います.この結果から,判読の難易や表現法について改めて議論し,ゆくゆくは複数の地形学者のクロスチェックを経た「日本の氷河地形-分布図と資料」みたいな本を出せればよいのではないでしょうか.

なお,今書いた第2段階が長谷川さんがコンペとよんだものに相当すると思いますが,地形判読は「競争」「競技」であってはいけないとの考えから,私はコンペと呼ぶことに抵抗を感じます.

以上,簡単にかきましたが,これは「新編日本の活断層-分布図と資料」の序論や松田ほか(1977地震研彙報)でも触れられており,参考にしました.また詳細にレビューしていませんが,放射線医・外科医がエックス線撮像から疾患を確実に読みとるためにカンファレンスを繰りかえし,実例集を世に出しているプロセスなども,参考になるかもしれません(本当?).


長谷川 裕彦 さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 19日 月曜日 4:51:56)

 苅谷さん,建設的なコメントをありがとうございます.

 最初に「コンペ」という言葉についてですが,これは深い考えなしに使った
ものです.苅谷さんの言うとおり,研究活動に使用するのはそぐわないかもし
れません.今後,どのような言葉を使用するかに関しては,他の方達のご意見
も伺いたいところです.公の場で思慮のたりなかったこと,反省いたしており
ます.すみませんが,とりあえずこのアップでは「コンペ」を使用させていた
だきます.

 苅谷さんのコメントは,今後わたしたちがとるべき道筋を考える上でとても
示唆に富んでいると思います.氷河作用でできる地形およびその類似地形をリ
ストアップして,それらの典型的な事例写真(地上写真も含めて)を収集しカ
タログ化する,という作業はやはり必要不可欠だと思います.
 苅谷さんは,小生がアップした「コンペ」を第二段階に位置づけておられま
すが,小生としては第一段階に取り組む前に一度(実際は数回)「コンペ」を
実施する必要があると考えています.苅谷さんは,

>この手続きを経ず各自がいきなり分布図を作って持ち寄っても,結局個々の
「作品」を相互鑑賞・批判して終わってしまうことはないでしょうか?.

 とおっしゃっていますが,その相互鑑賞・批判こそ,この作業を進行させて
いくための第一段階として不可欠だと思うのです.
 というのも,活断層研究(者)と「日本の氷河地形研究(者)」の質・量の
違いがあまりにも大きい現実があるからです.活断層研究者が,空中写真の判
読基準を議論し始めたころの状況をきちんと把握して言っている訳ではありま
せんが(すみません),1980年代以降に日本で空中写真判読・現地調査に基
づいて氷河地形発達史を論じた研究者数は活断層研究のそれに比べて圧倒的に
少ないと思います.小生の場合(あくまでも私個人の場合です),研究内容お
よび日常生活での時空間距離において一番近しい関係にある青木さんとですら,
1枚(2枚ですね)の空中写真を前にして,「この地形をどう読むか」といった
議論をした記憶がありません(フィ−ルドでこの地形は…と考える,と一方的
に話した記憶はありますが.青木さん,言いたいことあったんじゃないの?).

 小生の提言は,苅谷さんの認識レベル以前の問題です.苅谷さんの言う「第
一段階」に進むために必要なプロセスであると考えています.その作業を通し
て,「どの地形」の判読基準がよりあいまいか,といった問題点も見えてくる
のではないでしょうか.
 そのうえでもう一度,「皆さんのご意見をお聞かせください」.


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