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氷河とは <@BANNER>

会議室:「Glacier BBS」

氷河とは

発言者:児玉
(Date: 2003年 9月 16日 火曜日 3:08:35 AM)


基本的かつ初歩的質問で申し訳ありませんが、氷河の定義について教えてください。例えば万年雪との違いとか、


澤柿@北大・地球環境 さんからのコメント
(2003年 9月 18日 木曜日 4:21:24 PM)

地形学事典によれば,「氷河は,陸上に堆積した積雪とフィルンおよび氷からなる
巨大な雪氷の集隗で,重力のもとで流動しているのが特徴である.」
とあります.

*「フィルン」とは,夏になっても融け切らないで越年し,まだ氷になっていない密度の
大きな雪のことで,多年性雪渓(万年雪)と同義に使われることもあります.厳密には,
フィルンは「越年しているけどまだ氷になっていない雪,密度0.5〜0.6g/cm3以上」という
物質のことを指します.

国際的にも明確な定義はないようですが,「重力のもとで流動している」という点で,
「氷河」と他の雪氷の集隗と区別することが一般的なようです.この他にも,数年以上
に渡って,同一の雪氷の集隗が存在し続けていることも条件に含まれるようです.

一方,万年雪は,日本の雪氷学者の間では,「多年性雪渓」と呼ぶことに統一されてい
ますが,一般的にはまだまだ「万年雪」という言葉がよく使われます.

ということで,確かに夏の融解期にも完全に消滅せずに残ることから「万年」という名前が
ついていますが,氷河と決定的に違うのは,「重力のもとで流動している」ということと,
「氷からなる」という二つの条件を同時に満たしていないことにあります.

雪渓そのものは,巨大なものになると流動することはありますが,「氷」にはなっていない
ことが多いです.逆に「部分的に氷」になっていても「流動していない」ことも多いのです.

また,雪渓の表面が夏の融解期に融けて,それが再凍結することで表面だけが氷になることが
あります.これに対して,いわゆる「氷河」の氷は,厚く積み重なった雪の重みで圧縮されて
氷になります(密度0.8以上).氷河の定義に保守的な人の中には,氷河の氷の大半が「圧密氷」
であることを重要視して,雪氷の集隗の中に「再凍結氷」しか含まないものは氷河ではない,
という場合もあります.

つまり,最も保守的な氷河の定義は,(あえてつけるとすれば),
・陸上に堆積した積雪とフィルンおよび氷からなる巨大な雪氷の集隗で,
・重力のもとで流動しており,
・かつ,氷に関しては,主に圧密氷からなるもの

ということになるかと思います.

雪渓に愛着のある研究者の中には,日本で一般的に「万年雪」と呼ばれているものの中にも
「氷河」の条件を備えているものがある,と主張する人もいます.最も有力な候補としては,
大雪山のヒサゴ雪渓や立山の内蔵助雪渓等があげられ,「氷河の卵」とも呼ばれています.

「雪渓」vs「氷河」の論争は,まだ決着の着いていない問題なのです.

参考ページ:ヒサゴ雪渓の研究(北大・低温研)


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