in english in japanese »  HOME » Conference » BBS » 比較氷河研究会のページ
Contents
比較氷河研究会のページ 会議室:「Glacier BBS」

比較氷河研究会のページ

発言者:澤柿

(Date: 2001年 2月 15日 木曜日 21:05:18)


先日は,発表者のみなさまはじめ,参加者の皆様には積極的に参加いただいて
取りまとめ役として非常に感謝しております.

地理学会の氷河作用研究グループのページ内,という位置づけになってしまいますが,
今回の比較氷河研究会のページを作成(中)しました.

発表者の方ですでに要旨を事前に書き込んで頂いたかたもありますが,できましたら,
今一度,内容をもうちょっとふくらませて書き直して頂けませんでしょうか?タイトル
を変更された方もいらっしゃるようなので,発表した正確なタイトルもお願いします.

なお,最終的にはPDFでの公開も考えておりますので,パソコンで作成した図表で提供
可能なものがあればいっしょに送って頂けると非常にうれしく思います.

また,発表者以外の方でも,参加した感想や意見,今後への提案などありましたらどし
どし御寄せください.

送付手段はE-Mailがもっとも手軽ですが,必要であればFTPも可能です.また,これまで
どおり,掲示板のほうにも気軽に投稿してください.

比較氷河研究会のページ


長谷川 裕彦(明治大・非) さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 15日 木曜日 21:45:45)

 とりあえず比較氷河研究会に参加しての感想文です.

 比較氷河研究会に参加された皆さま,取りまとめ役の澤柿さん,お疲れさまでした.また,
会場・昼食・懇親会等,お世話いただきました水圏科学研究所の皆さま,どうもありがとう
ございました.
 私は,今回初めて比較氷河研究会に参加しましたが,とても刺激的で充実した2日間でし
た.多くの方々の発表から多くのものを学び取らせていただきました.そのいっぽうで,自
分の発表を鑑みると赤面せざるをえません.次の機会には,雪氷やさんにとって役に立つ,
おもしろい発表ができるよう努力しようと思います.

 今回の研究会を通して,氷河作用研究グル−プが取り組むべき作業課題として,以下の2
点の重要性を強く感じました.

1.ティルの分類名称,氷河底プロセスに関わる用語(用語そのものの定義およびその使用法)
 についてもっと討論すべきである.

2.空中写真判読の認定基準をより明確なものにしていくための努力をすべきである.

 この2項目について別にてアップしますので,皆さんのご意見を是非お聞かせください.

 また個人的には,もっと真剣に雪氷学の基本を勉強しなくてはいかん,と強く感じました.
岩田さんや白岩さんには,「そんなこと10年以上も前から口を酸っぱくしていってるだろ!」
と怒られてしまいそうですが,判らないままで終わらせていた勉強を一からやり直そうと思
います.自分自身の研究を今後どのように進めていくべきか,そういったことを考えるうえ
でとても良い機会となりました.雪氷やの皆さん,今後ともどうぞよろしくお願いいたしま
す.


高田(奈良女子) さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 19日 月曜日 9:39:42)

2/12-13の比較氷河研究会,全部面白かったですが,個人的には,やはり分野の違う
雪氷学関連の方々のお話に,特に興味を持ちました.1点だけ,当日,よく考えなか
ったことで疑問が湧いてきました.山口さんのお話で,極めて小規模な氷河になって
しまうと定常状態が出現することが難しい,というお話があったかと思いますが,果
たして,そもそもモレーンは雪氷学的な意味での定常状態で形成されている地形なの
かという疑問です.たとえばエンドモレーンの形成を例に考えてみると,(あの場で
のお話は,ELAの変動ということで定常状態を表現されたように理解したのですが
),ELAの挙動と氷河末端の挙動(あるいはモレーンの形成にかかわる氷河の挙動
)はパラレルと見なせるのか?あるいは,非定常状態では,モレーンの地形はできな
いのか(うまく表現できないのですが,ある変動幅で断続的に変動するような状態を
イメージしています),といった疑問です.申し訳ありませんが,この辺,もう常識
の範疇に入るお話でしたら,あとで個人的に教えてください.

以上,簡単ですがとり急ぎ感想までにて.今後ともよろしくお願いいたします.


澤柿 さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 19日 月曜日 9:41:11)

高田 さん,長谷川 さん
会合の感想をお送りいただきありがとうございました.

「モレーンは雪氷学的な意味での定常状態で形成されている地形なのか?」

という疑問ですが,この点について会合のあと山口君と歩きながら話をしました.
彼は地形屋でも地理屋でもないので,素人目として非常に懐疑的でした.

そもそもモレーンの形成メカニズムを考えると,とくにエンドモレーンは,よく教科
書などにもあるように,ブルドーザーのように氷河の前面のプッシュがあってできる
ものだと説明されています.この考えに基づけば,氷河が前進して堆積物を押し出せ
ばよいわけですから,定常状態とはまったく無関係のはずです.逆に定常状態にある
ように見える氷河でも,ターミナルモレーンを形成しない氷河もあるのも事実です.

最低限言えることは,氷河の最拡大位置はモレーンで決められる,ということだけで
す.しかも,前よりも大きな拡大が次にあれば,以前のモレーンは破壊されてしまう
訳ですから,すべての時期の拡大位置がわかるわけではありません.

「ELAの挙動と氷河末端の挙動(あるいはモレーンの形成にかかわる氷河の挙動)
はパラレルと見なせるのか?」

これもよく分かっていないと思います.ただ,青木さんのELAに関する研究では,あ
る時間幅の平均的なELAは,特定のAARで代表できるという結論ですので,涵養域と消
耗域との関係,たとえば質量収支の研究とモレーンとの関係を組み合わせて,現成の
氷河でもっとつめる必要があると思います.

結論としては,常識にはなっていない,ということです.


上田 豊(名大・大気水圏研)(澤柿代筆) さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 19日 月曜日 10:35:07)

 研究会最後の総合討論では、松元君の配付資料”氷河学における「2つの文化」を
めぐってーある体験者の偏見ー”の各章のタイトルの付け方の巧みさに魅せられて、
長文の力作を走り読みしていました。読み終わって、何か言おうかどうしょうかと思
っているうちに、澤柿座長の「どなたか最後に一言あれば」との声。「最後に」とな
ると重く、また総合討論の冒頭で座長からの「えらい教授方も帰られたようだし、皆
さんお気軽に」のインプットが残っていて、何も言えずに終わりました。ま、遅れば
せのえらくもない者からの数言ということで、「2つの文化」にかかわる感想を書き
ます。

 比較氷河研究会は物理屋、氷河作用研究会は地形屋とイメージされている方も多い
と思います。現在の比較氷河研究会はそれでいいのかもしれませんが、この会の名称
ができたころは、ちょっと違います。

 比較氷河研究会の名前は,ヒマラヤの氷河研究を画策していた1971年12月の
名大・京大合同研究会で提案され、そのころの話は、近刊の「雪氷」3月号,ヒマラ
ヤ氷河特集の渡辺・上田の記事にでてきます。提案者は当時名大の樋口研にいた渡辺
興亜さん(現極地研所長)で、地質畑の出身です。その名前での第1回会合は、翌年
1月の京大楽友会館であり、出席者8名のうち2名が地質出身でした。

 この研究会の名前による刊行物は、青本と呼ばれる「ヒマラヤ山脈、特にネパール
・ヒマラヤの氷河研究における諸問題」(1973)だけでしょう。そこに名前が出
ているメンバー15人のうち3人が地質出身(みな北大の)で、地形屋さんは五百沢
さんだけでした。すぐあとで岩田さんが加わります。青本の内容は,当時の渡辺リー
ダーの強い個性や参加者のパイオニア的意識もあって、物理色は弱く、分類や地形に
関する議論にもかなりの頁数がさかれています。氷河を気候と地形とのかかわりから
とらえようというスタンスで、参加者間の文化の違いはほとんど意識しなかったよう
に思います。

 昔話はこのくらいにして、冒頭に挙げた松元君の文のなかに、伊藤一さん(通称ド
ン)による「比較を始める前に,沢山の解決すべき対象がある」という意味の文が引
かれています。これから逆にたどると、比較氷河研究会という名称からは、その会が
基本的真理を求める物理屋の集団というよりも、氷河作用研究会に近いものととらえ
られないでしょうか。今回の研究会に集まった人たちは、雪氷学サイドと地理学サイ
ドの最も近い者どうしともいえるのでは。その共通項はもちろん氷河であり、また氷
河変動と気候変動、その背景/基盤にある地形であるでしょう。

 ただ、近い者どうしといっても、やはり両者の考え方や手法には違いがあります。
物理屋は,地形屋のいうことは主観的であいまいだといいますが、ぼくは物理屋も同
じような問題をかかえていると思います。氷河に関する物理系のモデルも、数字と式
で武装して客観的にみえますが、どんな式を立て、どの数値を入れ込むかで結果がか
なり異なることは、いっぱいあるでしょう。こういう条件でやればこうなる,といっ
ているにすぎない面があります。たとえば、山口君のヒサゴ雪渓の解析で「吹きだま
り型のため雪渓は流動をおこす厚さになりえず、氷河には成長できない」というのも
,計算で設定された限定的な条件では,という但し書きがつくでしょう。ヒサゴ雪渓
のすぐ下にある池のあたりにも越年雪がたまりつづけるような気候になれば、実際に
は氷河ができてもおかしくないのでは。(山口君の解析がどうのといっているのでは
なく、手近な例として借りただけですみません。発表は大変おもしろかった。)
 また、モデルで再現された結果が実際と合っていたとしても、それに至る個々のプ
ロセスの想定が正しいとは限らず、異なったプロセスを設定しても同じ結果に至るこ
ともありうるでしょう。

 とりとめなく書きましたが、要は比較氷河研究会も氷河作用研究会も,違いをあま
り意識せずに,それはお互いを惹きつける魅力でもありますから、刺激しあって幅と
奥行きのある氷河像を組み立てていきましょうということです。


松元 高峰(北大低温研) さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 20日 火曜日 19:33:13)

上田先生、貴重なコメントありがとうございます。

ちなみに、比較氷河研究会に参加されなかった方むけに申し上げておきますと、
会場において「氷河学における2つの文化をめぐって −ある体験者の偏見−」
というタイトルの体験談的エッセーを配らせていただきました。
ただ、ギリギリで(名古屋のホテルでもまだ書いていた!)仕上げて配布
させていただきましたために、誤字脱字やら修正すべき点がいくつもありました。
また、書きたかったのに時間の都合で省略した部分もあります。

そういうわけで、いくらかの修正加筆を行った完成版を来週までに仕上げ、
PDF化してネット上に公開する予定にしております。
つまらないものですが、改めて御笑覧いただければ幸いです。
まずは御連絡まで。

(比較氷河研究会の感想は改めて・・・)


岩田修二 さんからのコメント
( Date: 2001年 2月 22日 木曜日 10:31:46)

氷河学における二つの文化

 先日の比較氷河研究会の二日目には欠席したため松元高峰大兄の発表を聞き逃しました.しかし,当日配布された資料「氷河学における2つの文化をめぐって:ある体験者の偏見」を拝読しました.おもしろかったです.コメントをしたくなりました.
1)一番の問題は,数量的認識技術を知らない氷河地形屋と,なまの自然の理解技術を知らない氷河物理屋とのギャップでしょう.初期の氷河研究では,氷河物理屋たちは自然を知らないことをよく理解していて,けっして地形屋や地質屋を馬鹿にしなかったと思います.イギリスでも日本でも.日本では,若浜五郎先生や樋口敬二先生などは,地理屋以上になまの自然に大きな興味を持っておられました.もちろん,野上道男先生のように,ある程度数学と物理に強い地形・地理屋の存在は欠かせませんが.
2)もう一つの問題は,形態の研究が,現段階では,いわゆる近代的自然科学になじまないように見えることでしょう.中国では地形学を地貌学というように,地形学は見かけを議論する学問です.しかし,美人コンテストが科学にならないように,「もの」ではない「かたち」そのものの研究が難しいのは常識です.「もの」の科学である地質学でも,露頭スケールの層相研究(形の研究です)が,いつも露頭の解釈が分かれるように,問題になるのと同じでしょう.しかし,地形でも露頭でも訓練を受けた研究者はきちんとした共通の認識を持つことができると確信しています.1950-60年代には,Journal of Glaciologyには多くの地形学の論文が出ていました.最近,また増えているように思います.地形学を科学と認める人がいるのは嬉しいことです.また,昨年9月にシアトルでおこなわれたDebris-covered glaciersのシンポジウムでは地形屋が半分いましたが,雪氷屋との違和感は感じませんでした.


松元 高峰(北大低温研) さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 02日 金曜日 18:44:43)

たいへん遅くなってしまいましたが、先日お約束した配付資料のエッセイ
「氷河学における2つの文化をめぐって」の修正・加筆版が完成いたしました。
比較氷河研究会のページにpdfファイルをアップしていただきましたので、
関心をお持ちの方には御笑覧いただけますと幸いです。
ティルに関する議論が掲示板上で高まってきた今頃になって何ですが・・・。

かなり長い文章になったために、小さなフォントにしてしまいました。
またコピー配布を考えて、2段組のレイアウトにしてしまったため、
ディスプレイ上では逆に読みにくくなってしまいました。
御迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、お許し下さい。



山口(北大低温研) さんからのコメント
( Date: 2001年 3月 08日 木曜日 22:51:22)

遅くなりましたが、比較氷河で発表した内容をまとめたものをweb siteにupしました。
自分では、発表を聞いていない方にもわかるようにまとめたつもりです。

比較氷河研究会


前
発表要旨
カテゴリートップ
BBS
次
ティルの成因分類についての討論会をしませんか?

Copyright © 2000-2021 Study Group on Quaternary Glaciation in Japan